日本鋼管不動産株式会社 代表取締役社長殿

前略

昨夜第一日暮里小学校で、富士見坂の眺望が危ないという趣旨でシンポジウムを行ったなかで、フロアからの発言で貴社のトップあてに葉書・手紙をみんなで書こうという提案を受けて、お便り致します。益田兼房(東京芸術大学)、森まゆみ(地域雑誌「谷根千」編集人)の両者を迎えてのシンポは、小さな部屋で70名程の集まりでしたが、フロアには千葉などの遠方から駆けつけてくれた方々や、荒川区から数名、文京区から1名の区議さん、大学教授等が参加し、熱気ある議論ができました。日暮里富士見坂を守る会に対して、もっとこのようにしたらよいのではないかとの提案が相次いだ次第です。詳述する余裕はありませんが、坂周辺の方々のみならず、富士山がこの日暮里富士見坂から永久に眺望できるようにと、都民あるいは国民として皆さん熱心な思いを懐いていることが確認できました。最後に残った貴重な眺望ラインを、今からでも何とか保全できないかとの強烈な願望が、もっと強力に運動できないのかとの叱咤激励になって飛んできた次第です。提案としてこれから活かしていけそうな内容は、
一. 眺望保全要求の願望の具体的な形の明示(署名、葉書、手紙送付等)
二. 工事の一時凍結のうえでの集中的な話し合い
三. 隣接近傍敷地への空中権の買い取り可能性の打診(制度上可能)
四. 眺望保全を実行した貴社の貢献を広くマスコミに報道してもらう全社的なイメージアップへのバックアップ
五. その貢献をプレートにして永久に富士見坂に設置すること(カンパ+荒川区負担)
等であり、シンポないしその後の尽きせぬ議論の中で、提案として噴出してきました。 時間的に残された余裕はほとんどない中で、今後の話し合いのテーブルに着くうえでの智恵として、活用して頂きたいと念ずる次第です。 一プロジェクトの損益採算をないがしろにできないことは勿論ですが、コストやベネフィットは、金銭勘定として発生する以外に、外部化された影響や効果がますますその重要性を増していると考えられます。
貴社の賢明なるご判断を仰ぐ次第です。 草々

平成一二年一月二九日 

日暮里富士見坂を守る会


註 原文は縦書きです。
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