平成12年2月13日

日本鋼管株式会杜 
代表取締役社長 三好俊吉様

日暮里富士見坂を守る会
代表 小川幸男

日暮里富士見坂の眺望保全のお願い
拝啓 早春の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
 すでにお聞きおよびかと存じますが、貴社の子会社である日本鋼管不動産株式会社が本駒込に建設中のワンルームマンションが、このままではちょうど日暮里富士見坂からの富士山の眺望を阻害しそうな事態になっております。(同封の資料をご参照下さい。)
 日暮里富士見坂は、山手線内にある16の富土見坂のなかで、左右の稜線を含む全景が綺麗に見える唯一、最後に残された坂です。ここからの眺めは、特に1月末から2月初めに夕日が富士山頂に沈む絶景を望むことができ、カメラマンや遠くからの見物人も,多数訪れ、感動を与えています。
 東京と富士山のつながりをこの細い眺望軸で未来につなぎ止めておくことは、来年から始まる新世紀が、金銭的な短期的利益にもまして、金銭におきかえられない質の高い価値を大切にする杜会への先鞭をつけることになると考えます。また、白山通り以遠の眺望軸内は一般のマンションが建設されたくらいでは、富士山の眺望にとって影響はありません。問題はそれよりも近傍の眺望軸内であり、ここで建築確認申請の事前調整を行えば、富士見坂からの眺望は永久に保存される可能性が極めて高いのです。
 確かに本プロジュクトで確保したはずの利益を失うことは、御子会社としてはダメージが大きいことと思います。しかしこの細い眺望軸を、ここで切断することは、後世に伝えるべき貴重な風景遺産を失うことであり、その影響は計り知れません。富士山と東京の架け橋を保全する側に与することは、必ずや御子会社のまちづくり活動(マンション建設、その他保険、観光サービス等)にとっても、将来、好結果をもたらすものと確信いたしております。なぜなら、まちづくりや情報に関わる企業活動も、企業イメージの果たす役割が大きく、富士見坂眺望の保全の先鞭をつける御子会社が、今後その貢献をもとに企業の活動方針を再構築して臨めば、社会的な支持を得られるのは理の当然と考えるからです。企業の営利追求とともに、社会貢献という役割も担うべき存在であります。
 以上のような実情を御拝察いただき、親会社としての貴社の賢明なるご判断を仰ぐ次第です。 敬具

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