日暮里富士見坂からの眺望を守ることに関する回答書

荒川区議会議長殿

 時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。日頃より文京区政について、ご理解とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、平成十二年五月十日付けでご要望のありました、日暮里富士見坂の眺望保全につきましてご回答いたします。
 文京区における富士坂や富士見坂の名で呼ばれ親しまれている坂は、都心部において最も多い四ヶ所でございます。しかしながら、近年のめざましい都市の発展にともない、富士山を望める箇所は、護国寺付近の富士見坂のみとなっており、私といたしましても、貴議会のお気持ちは十分理解できるところでございます。
 したがいまして、文京区といたしましても、この度の本郷通り沿いでのマンション建設工事に対しましては、建主側にご理解をいただくよう再三努めてまいりました。
 しかし、日暮里富士見坂からの眺望を保全するためには、本区を含む一定範囲内において、建物の高さを規制する必要が生じてまいります。本区においては、昨年末に文京区景観条例を制定したところでございますが、建築基準法等、法的に認められていることにつきましては、景観条例をもって制限することは出来ないことはご承知のとおりでございます。
 私としては、私有財産権に関する法制度上の問題など、今後、広範な議論が尽くされる必要があると認識しております。
 なお、日暮里富士見坂からの眺望保全につきましては、貴区における取り組みなどに可能な限りご協力してまいる所存でございますので、ご理解賜りたいと存じます。

平成十二年六月十四日
文京区長 煙山 力






註. 原文は縦書きです。

「行政の見解」のページに戻る。

トップページに戻る。